バナオの奮闘記

エリートコースを歩んだ後、起業に挑戦したら大失敗。今はとある社長のもとで修行中の身。

要件定義のポイント

7/5の振り返り。

 

システム開発において、要件定義は重要と言われる。

なぜ、要件定義が重要なのか、どうしたら要件定義の質を向上させることができるのか。

まとめてみる。

 

 

 

 

システム開発の成否は何で決まるのか?

まず、システム開発が上手くいくパターンは大きく2つある。

 

1つ目は、要件定義がちゃんとできているパターン。

 

2つ目は、要件定義がちゃんとしていなくても、開発者が優秀で要件を上手く汲み取って開発してくれるパターン。

 

 

お金をかけられるなら、後者のパターンを採れる。

優秀なエンジニアを社内に持つか、優秀なエンジニアがいる会社に外注できるからだ。

 

もし、お金がないなら、前者のパターンでいくしかない。

つまり、要件定義をキチンとやって、開発が混乱・迷走しないようにする必要がある。

 

 

では、要件定義の質を上げるには、どうしたら良いか?

 

 

 

要件定義の質の向上①︰データのインプット・アウトプットの設計

要件定義の最初のステップでは、データのインプット・アウトプットを設計する。

また、インプットとアウトプットを設計する際には、どのインターフェース・どのタイミングでデータが入力・出力されるのかも検討しておく。 

 

 

そもそも、システムというのは、「何かの情報をインプットすると、何かの情報が加工されたり、見え方が変わってアウトプットされるもの」である。

 

例えば、顧客管理システムであれば、顧客名や顧客の会社名や商談状況などをインプットとして入力する。

すると、会社名で検索して顧客情報を一覧で見られたり、商談状況別にソートして顧客情報を確認できたりする。

つまり、少し加工されたアウトプットが見られる。

 

 

この設計段階においては、必要なデータを網羅的に出し切ることが大切。

データを出し切ると、データの構造化も必要になってくる。

 

例えば、先の顧客管理システムの例で、顧客が購入した商品の情報も入力するとしよう。

もし、商品が車なら、車種・型番・年式なども必要かもしれない。

それだけ商品の情報が増えてくると、単に顧客情報と言っても、購入した商品の情報は別で入力するインターフェースを持った方がよいかもしれない。

 

また、データのCRUDが全て実現できる機能がそろっているか、というのも確認する。

CRUD(Create Read Update Delete) 

 

 

 

要件定義の質の向上②︰画面遷移の設計

データの設計が固まったら、具体的にユーザーにどのようにシステムを利用してもらうかを設計する。

 

WEBサイトでもWEBサービスでもアプリでも、基本的には画面遷移を書くことになる。

 

ほぼプロトタイプに近いようなイメージまで詰めると以下の画像のようになるだろう。

 

https://prismic-io.s3.amazonaws.com/prottblog%2F2d70a114-ca23-4db7-8d1e-7cf76d3f0b57_test.gif

 

ここまでやらなくとも、手書きやパワーポイントベースでよい。

ユーザー候補の人に見せて、フィードバックをもらい、ブラッシュアップしておく。

 

 

 

要件定義の質の向上③︰将来に向けた拡張性の確保

要件には、将来実現したいことと、直近実現したいことの2つがある。

この将来実現したい要件というのが、曲者だ。

 

要件を定義する側としては、将来的にはガンガン機能を拡張したいと思っている。

しかし、開発する側としては要件が定まらないと、開発の工数も見込めないし混乱する。

 

従って、将来実現したいことも要件に盛り込んで開発してしまうか、もしくは要件を直近実現したいことだけに絞り、将来実現したいことは追加開発に回す、のどちらかになる。

 

 

しかし、奥の手もある。

"将来実現したい機能に向けて拡張性をもたせながら、要件は直近実現したいものに絞る"という手だ。

 

この手段をとるには、かなり優秀なエンジニアが身近にいる必要がある。

もし、外注するのだとしたら、その優秀なエンジニアに外注会社の設計をレビューしてもらう。

 

 

 

以上のような進め方で、要件定義の質を上げると、システム開発の成功につながる。

 

人の役に立つ→お金を稼ぐ

7/4に考えたこと。

 

人の役に立つこととお金を稼ぐことは、両立させることが必要。

 

最近、将来の夢として、、

「稼げなくてもいいから、カフェをやりたい」

とか、

「営利目的ではない、人々が集まる場所をやりたい)

という人の話を聞く。

 

夢として、素晴らしいなと思う一方で、継続性はあるのだろうかと考えてしまう。。

 

 

ただ、自分自身まだ、、

人に役立つことと、お金を稼ぐことの両立が実感としてもてていない。

 

 

どういうステップで両立を図っていくべきなのか。

 

 

 

まず、人の役に立つ

まず、いきなり、お金を稼ごうというのはおこがましい。

これまで会社員として、やってきた人が、個人でお金を稼いでいくというのであれば、特にそうだ。

 

人のお役に立てる情報や労働力を提供するところから始める。

無料でも仕方がない。

単価が安くても仕方がない。

(会社員の時は、この仕事だとこれだけもらえていたのに、とか言わない。)

つべこべ言わずに、全力でやる。

 

 

 

お金を稼ぐ

しばらくすると、まとまった仕事・お金も得られるようになるのだろう。

 

常に期待以上の価値を提供していく。

そして、仕事あたりの単価を上げていく。

 

稼いだお金は、大切にする。

少しずつでもいいから、貯めていく。

 

 

 

お金も使って人のお役に立つ

ある程度、お金が貯まってきたら、人のお役に立つために、"お金"も使う。

気前よく、奢ったりとか。

 

見栄をはるためのお金になると浪費になる。

港区の1分おじさんになってしまう。

 

あくまで、気持ちよく払える範囲で。

 

 

 

お金を稼ぎながら、人のお役に立つ

更に進むと、最初からお金が稼げるようになる。

 

これは、かなり先のフェーズだと思う。

自分の力でお金を稼いだことに自信が持てるようになってくると、自分の価値を堂々と伝えられるようになる。

 

適正な値付けができるようになる。

自分を安売りせずに、お金が稼げるようになる。

 

 

 

人と人をつないで、人の役に立ちながら、お金を稼ぐ

更に進むと、人と人をつなぐだけでも、お金を稼げるようになる。

 

上手くいっている人と、上手くいっている人をつなぐ。

更に、適正なスキームでつなぐ。

そして、自分の付加価値をプラスする。

 

そうすると、双方から儲けられる。

 

 

 

 

私自身は、コンサル出身なので、このステップがしっくりくる。

商売からスタートした人だともっと違うかも?

 

 

理念の必要性

7/3に考えたこと。

 

会社にとって理念は必要なのか?

考えてみた。

 

理念の例をいくつか挙げてみる。

 

 

例えば、、

インターンシップが新卒に人気のワークスアプリケーションは、パッケージソフトの導入によって、日本のシステム産業を変革するということを理念にしている。

 

また、プルデンシャル生命は、生命保険のニードセールスを行い、生命保険業界を変革することを理念としている。

 

 

では次に、理念があると何がいいのだろうか?

 

会社に理念があり、それが社員に浸透していると、社員の芯がブレなくなるように感じる。

 

高い次元での目的をもつと、人間は目の前の仕事が苦にならなくなるのだと思う。

 

有名な、イソップ寓話「3人のレンガ職人」がある。

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男のそばに立ち止まって、

「ここでいったい何をしているのですか?」

と尋ねた。

「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」

旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べいくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」

旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。

また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。

「ここでいったい何をしているのですか?」

旅人は興味深く尋ねた。

「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

 

イソップ寓話「3人のレンガ職人」に学ぶ、モチベーション高く働く従業員を育てるヒント

 

同じ仕事をするのでも、どんな目的を掲げているかで、全く生産性や社員のロイヤリティは変わる。

 

 

『ROOKIES』でも、主人公の川藤先生は、生徒にこう言っている。

志の大きさはその人間の大きさだ

夢を持った人間をバカにするな

(中略)

夢に向かって努力してる人間ってのは瞳がキラキラしてる

ROOKIES 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

夢・志・理念

そういったものがあると人間は強くなるのだろう。

 

社員が自分の夢・志を、会社に託したいと思えるような理念を設定する必要があるのだろう。

 

仕組みを作る人と回す人と回される人

6/30に考えたこと。

 

マトリックスという映画は、世の中を風刺していると言われている。

人々は本当は機械に培養されているのだが、マトリックスという仮想世界に接続され、その世界の中で生きているため、気づかない。

 

世の中が、どういう構造になっているのか考えたみた。

ある"仕組み"があった時に、それに関わる人はどのように分類されるのか。

 

 

 

仕組みの構成員

仕組みがあった時に、そこに関わる人は3種類に別れる。

 

  1. 仕組みを作る人
  2. 仕組みを回す人
  3. 仕組みに回される人

 

例えば、前述のマトリックスで言えば、、

  1. マトリックスを管理している機械
  2. エージェント
  3. マトリックスに生きる人間たち

である。

 

1は、これ↓を管理してる機械たち。
f:id:banao34:20170630210930j:image

 

2は、この人↓たち。
f:id:banao34:20170630211026j:image

 

3は普通の人間たちなので省略。

ネオで言うと、覚醒する前のプログラマーの時。

 

会社で言えば、、

  1. 創業者、共同創業者
  2. 後から入ってきた役員
  3. 会社員

である。

 

テレビだったら、、

  1. テレビ業界を作った人
  2. テレビ番組を作っている人
  3. テレビを見ている人

だろう。

 

AKB48だったら、

  1. AKB48をプロデュースした人(秋元康
  2. AKB48のメンバー
  3. AKB48のファン

だろう。

 

 

 

構成員の利益

1の人は、仕組みのルールを作っているので、上手くいけば大きなお金が入ってくるし、働く時間も少なくてよい。

更に当面の間、既得権者として君臨できる。

 

2の人は、仕組みを作ったわけではないが、仕組みが整備されていく過程を見ている。

従って、仕組みの中で有利なポジションをとれる。

 

3の人は、ほぼ完成された仕組みを回す一要員として入ってくる。

代替可能だし、決められた仕事を行うだけになる。

 

 

 

仕組みの模倣

1︰仕組みを作った人が誰なのかを見抜く必要がある。

 

そして、その人がどのようにして仕組みを作ったのかを理解し、真似をすれば、同じ仕組みは作れる。

 

ただし、その人が作った仕組みを小さくしたものになってしまう。

例えば、大きなコンサルティング・ファームから独立して、小さなコンサル会社ができたりとか。

リクルートから独立して、小さな営業会社ができたりとか。

プルデンシャル生命ソニー生命から独立して、小さな保険代理店ができたりとか。

 

このモデルだと、元の大きさには到達できない。

また、人数を増やしていくと、どこかで限界が生じる。

そのコンサル会社や営業会社や保険代理店が大きくなっても、途中でまた一部が独立して、新たにまた小さなコンサル会社や営業会社や保険代理店ができる。

分家がひたすら増えていくだけだ。

 

 

 

新しい仕組みの創造

分家で終わりたくないなら、小さくてもいいから、まずは自分独自の仕組みをつくって、1にまわる必要がある。

 

そのためには、1の人が、作った仕組みを真似するだけではなく、1の人が何故その仕組みを思いついたのか、誰にその仕組みを教わったのか、何からヒントを得たのか。

そこまで、研究する必要がある。

 

研究して、自分のモデルを思いついたら、後はやるだけだ。

マトリックスのネオのように、一度苦しい思いをすることにもなるだろう。

それでも、やり抜かないといけない。

 

 

 

 

ここまでいったら、幸せな世界が待っているのだろう。

成功・失敗パターン

6/29に考えたこと。

 

自分が過去上手くいったパターンと上手くいかなかったパターンには傾向があることを学んだ。

 

その傾向から、チェックポイントをまとめておく。

 

 

 

チェックポイント①︰素直に周りの人の話を聞いているか

まず第一に、素直に周りの人の話を聞いているときの方が上手くいっている。

お客さんの声をすぐに聞きに行ったり、上司の話をよく聞いている時だ。

 

逆に、人の話を聞かずに、自分の頭で考えすぎている時は、大概上手くいかない。

自分が正しいと思って周りの人の話を聞いていない時も上手くいっていない。

 

 

 

チェックポイント②︰いいチームを作れているか

上手くいくときには、自分一人でやろうとせずに、仲間を巻き込んでいる。

 

まず、自分が言い出しっぺになり、がんばって声掛けして、メンバーを集める。

 

尚且つ、そのチームで、無理して自分がリーダーシップを発揮しようとしない。笑

チームメンバーに任せて、好きにやらせている時に上手くいっている。

 

逆に自分がリーダーとして気負って一人でがんばろうとしたり、自分の指示の基に全てを進めようとする時は上手くいかない。

 

また単独で、何かをしようとする時も上手くいっていない。

 

 

 

チェックポイント③︰掲げたビジョンが正しい

言い出しっぺである以上、メンバーを巻き込むときに、何かしらのビジョンを掲げる。

このビジョンが正しいと上手くいく。

 

これは当たり前っちゃ当たり前のことである。

 

自分のやりたいことにも一致しており、メンバーのやりたいことにも一致しており、その組織に関わる人にも共感してもらえるビジョンを掲げた時は上手くいく。

 

逆に、自分だけがやりたいことをビジョンとして掲げた時は上手くいかない。

 

 

 

全てのチェックポイントを押さえて、成功パターンに持ち込めるようにしよう。

会社設立要否の判断

6/28の振り返り。

 

会社を設立すると、"何となくすごいことをした"ような気になりがちである。

しかし、本来、会社を設立すべきかどうかは、冷静に判断しなければならない。

ビジネスをやるために、必ずしも会社を設立することが必要なわけではない。

会社設立をすべきかどうかのチェックポイントをまとめておく。

 

 

 

 

チェックポイント①:売上が上がっている、もしくは確実に上がる見込みがある

まず、会社を設立するにあたって、売上が上がっているか、もしくは確実に上がる見込みがあることが最低条件である。

 

売上が確実に上がる見込みがある状態とは、ベンチャーキャピタルから資金調達が決まっているような状態のことである。

 

先日とあるテック系の企業の社長とお会いしたが、

「プロダクトは出来ており、それを基にベンチャーキャピタルにピッチして、資金調達が決まった。『資金を入れるために会社を作ってくれ』と言われた。」

とおっしゃっていた。

 

まず先に、プロダクトがあり、そのプロダクトの将来性が十分に見込まれてから、(将来は必ず売上が上がると見込まれてから)会社を作ったということだ。

 

売上が上がるもしくは、売上が上がる見込みもないまま会社を作るのは、登記費用や維持費用の無駄でしかない。

 

 

 

チェックポイント②:会社に蓄積したい資産・実績はあるか?

資産・実績を会社に蓄積したい場合にも、会社を作ったほうが良い。

 

例えば、プロダクトを作る場合、プロトタイプレベルであれば、個人事業主の集まりで作ってもよい。

しかし、プロダクトを作り込むフェーズに入ると、複数人数が関わるだろうし、資産としての価値も上がっていってしまう。

すると、誰がプロダクトの資産を持っているのかも曖昧になるし、それを明確化したあとに、会社にプロダクト(資産)を譲渡するのも面倒だ。

プロダクトを作り込む前に、プロダクトの将来性が検証できた段階で、会社を作った方がよい。

そして、そのプロダクトは会社の資産とした方がよい。

 

また、会社として実績をつけたい場合にも会社があった方がよい。

例えば、上場企業から売上が上がるとすれば、それは個人で引き受けるよりも、会社の実績にした方が良い。

有名な企業との取引があるということで、会社としての信用が増すことになる。

 

 

 

チェックポイント③:会社にした方が節税効果が上がる

個人事業主よりも、会社にした方が節税効果が上がるかどうかも確認したほうが良い。

 

以下の本によれば、収入から費用を差し引いた所得が、83万円以下であれば、個人事業主の方が得だという。

会社にすると税理士を雇ったりする費用も掛かるため、それも考慮すると所得が350万円~400万円以上あれば、会社にした方がよいとのこと。

 

税理士・社会保険労務士・中小企業診断士 3つの観点からみる 「起業」「法人化」を考えた時に読む本

 

 

 

細かいチェックポイントは他にもあるだろうが、大きくはこの辺りのポイントを押さえて、会社の設立要否を判断する。

 

始める前に勝負は既に決まっている

6/27に考えたこと。

 

事業は始める前に、成功するか失敗するかが決まっているのではないかと思う。

 

孫子』の冒頭にもこうある。

戦争とは、国家の一大事である。人の死生を決める分岐点であり、国家の存亡を左右する道であるから、これを深く洞察しないわけにはいかない。だから五つの事柄でよくよく検討し、(七つの)計で比較分析し、敵味方の実情を求めるのである。 

孫子・三十六計  ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)

 

つまり、戦争を開始する前に、よくよく分析し、検討することが必要だと説いている。

それでは、どんなポイントを分析・検討しておくべきなのだろうか?

孫子』では、五事七計によって洞察するのがよいとされているので、それになぞらえて考えてみる。

 

 

 

五事:道

道とは次の意味である。

「道」とは、民の気持ちを為政者に同化させることのできるような政治の正しいあり方。これによって、民は為政者と生死をともにして何の疑いも抱かないようになるのである。

 

第一に挙げられているということは、最も重要だからだろう。

 

為政者というのは、最高権力者のことなので、現代のスタートアップで置き換えれば、社長のあり方が書かれている。

 

まず、社長に人望があり、その社長のためなら生死をともにしてもよいと思う共同創業メンバーが集まっているか。

 

会社が大きくなってきても、社員に「この社長のためなら(ビジネス的な)生死をともにしよう」と思ってもらえているかどうか。

それだけの人間的な器、人望・人徳があるかどうか。

 

更に言えば、現代でいう"民"というのは、社内のメンバーだけでなく、社外のお客さま・取引先も含まれていると思う。

つまり、社外のお客さま・取引先からも、「この社長は好きだ、この社長の目指す姿には非常に共感できる、」と思ってもらえるかどうか。

 

 

 

 

五事:天・地

天・地は次の意味である。

「天」とは明暗・寒暑・時節などの自然条件、「地」とは遠近・広狭・有利・不利となる地形など、戦場に関する地理

 

これを現代のスタートアップで置き換えるのであれば、いわゆるPEST分析と言われるような、外部環境分析・業界分析ができているかということだろう。

 

PEST分析とは、

P:Politics(政治)

E:Economy(経済)

S:Society(社会)

T:Technology(技術)

である。

 

勝負をしようとしている業界に、どのような変化が起きるかをつぶさに把握できているか。

どのように法律は変化するか。

その法律の変化に影響を与えそうな既存企業や彼らのロビー活動の状況はどうか。

その業界の商品に対する支出額は減っているのか、増えているのか。

都心部と地方ではどのような違いがあるのか。

人々の暮らしはどのように変わっているのか、どのようなツールを使うようになってきているのか。

その業界に変革を与えるような技術的な変化にはどのようなものがあるか。

 

 

 

 

五事:将

将は次の意味である。

「将」とは軍を統括する将軍の能力で、智(智恵)、信(信頼)、仁(思いやり)、勇(勇気)、厳(厳格)の五つ。

 

先ほどの天は、為政者、つまり最高権力者のあり方を説いていたが、将は軍を率いる将軍のあり方を説いている。

 

スタートアップに置き換えると、主に共同創業者のことを指しているだろう。

共同創業者に智(智恵)、信(信頼)、仁(思いやり)、勇(勇気)、厳(厳格)があるか。

社長の責任としては、そういった共同創業者を集めてこなければならない。

 

 

 

五事:法

法は次の意味である。

「法」とは、曲制(軍隊の構成や指揮系統などのきまり)、官道(組織の上下や賞罰に関するきまり)、主用(主軍の輜重や食糧に関するきまり)などの各種規則である。

 

これはスタートアップに置き換えるのであれば、以下のようなポイントではないかと思う。

 

株主構成は明確か。

最終意志決定者は明確か。

チームの体制、上下関係は明確か。

株の持ち分・給料・ストックオプションは明確か。

そして、それらは明文化されて、確実に運用されているか。

 

 

 

七計に関しては、別途まとめる。